地域社会とマスメディア

美しい高齢期を生きるために (連載第13回) 心と身体の健康 生きがい 3・いろいろな生きがい 　生きがいというものは、生存していることの感激を体験することであって、それは主体的なものですから、他から与えられるものではなく、その感激の内容も千差万別です。だから生きがいは、生存する人の数だけあるわけです。 「自分の学説がどこまでも良いといわれる方がそれは嬉しいけれども、しかしそれは嬉しいと同時に、他方ではまたひっくり返されるかもしれんぞとと思う……。過去の自己の肯定と否定がいっしょになってこそ生きがいじゃないか。学者としては」 　とノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏はいっています。 「銀座だの新宿だのをなんのあてどもなくぶらつき、ただ大衆のうねりに添うて動くのを楽しむ……。私はそこに人間としての生きがいを感じる」 　と末川博氏はいっています。 　アリストテレスの学派を逍遥派といいます。散策すると知性のはたらきが活発になるために、散策しながら、学問を論じたための呼称だそうです。 　このように散策しながら学問を論じる人、風景を見て楽しむ人、散歩道や周辺地域の改善をはかりながら、その実践の方法を工夫して散策する人、歌を唄いながら散策する人、思索しながら歩く人、短歌や俳句を作りながら歩く人、犬を連れて歩く人、身体の不自由な人の手をひいて歩く人、といったように散策でも千差万別です。 　そのほかにも野の花を生ける人、料理の工夫をする人、廃品を生かす人、人形をつくる人、いろいろなポランティアに参加する人、といったように、気をつけてよく見れば、身の回りにあるすべてのものが、生きがいの要素をもっています。


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